仕事ができない部下に見切りをつけるべき?上司として取るべき対応と決断のタイミング

仕事ができない部下に見切りをつけるべき?上司として取るべき対応と決断のタイミング
admin

新任マネージャーになって間もない方や、初めて部下を持つことになった方の中には、「仕事ができない部下にどう対応すればいいのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。特に、指導や育成を重ねても成長が見られない部下に対して、いつまで時間をかけるべきなのか、それとも見切りをつけるべきなのか、その判断に迷うことも少なくありません。

この記事では、仕事ができない部下との向き合い方から、最終的な決断をするまでのプロセスについて、具体的にお伝えしていきたいと思います。

仕事ができない部下との向き合い方

まず大切なのは、「仕事ができない」という状態を正しく理解することです。よく耳にする「できない部下」という言葉ですが、実は様々な要因が隠れています。例えば、業務に必要なスキルが不足している場合もあれば、仕事の優先順位がつけられない場合もあります。また、モチベーションの低下や、職場環境への適応の難しさが原因となっているケースも少なくありません。

私たち上司の立場として最初にすべきことは、「なぜできないのか」という原因を丁寧に探ることです。部下と1対1で話し合う機会を設け、現状についての認識を共有することから始めましょう。この際に気をつけたいのは、責めるような態度は避け、「一緒に解決策を考えていきたい」という姿勢で臨むことです。

また、部下の話をよく聞くことで、思いもよらない問題が見えてくることがあります。例えば、「報告の仕方がわからない」「質問するタイミングに迷う」といった、基本的なビジネススキルの不足が原因だったり、「前任者の引き継ぎが不十分」「業務マニュアルが古い」といった、環境面の課題が浮かび上がってくることもあるのです。

このような対話を通じて問題点が明確になったら、具体的な改善計画を立てていきます。この時、できるだけ細かいステップに分解し、小さな成功体験を積み重ねられるように工夫することが大切です。「今週中にこの業務の手順書を作成する」「来週までに3件の案件を独力で完了させる」といった、具体的で達成可能な目標を設定していきましょう。

見切りをつける前にすべきこと

部下の成長が思うように進まない場合でも、すぐに見切りをつけるのは適切ではありません。その前に、以下のようなステップを踏むことが重要です。

まず、期待される成果と現状のギャップを明確にし、具体的な改善目標を設定します。この際、「もっと頑張って」「早く仕事を覚えて」といった抽象的な指示ではなく、「各案件の進捗報告を毎日17時までにする」「クライアントからの問い合わせには2時間以内に返信する」など、具体的な行動レベルの目標を示すことが大切です。

次に、目標達成のための期限を設定します。ただし、この期限は部下の現状のスキルレベルや、業務の難易度を考慮して、現実的なものにする必要があります。短すぎる期限を設定すると、かえってプレッシャーとなり、パフォーマンスの低下を招く可能性があります。

また、改善に向けたサポート体制も重要です。例えば、経験豊富な先輩社員をメンターとして付けたり、定期的な研修の機会を設けたりすることで、成長をサポートできます。特に、新しいスキルの習得や、業務プロセスの改善には、周囲のサポートが欠かせません。

さらに、進捗状況を定期的に確認し、フィードバックを行うことも必要です。週1回程度の面談を設定し、目標に対する達成度を確認するとともに、新たな課題が発生していないかをチェックします。この際、改善が見られた点については積極的に褒め、モチベーションの向上につなげましょう。

見切りをつけるタイミングの見極め方

では、どのような場合に見切りをつけるべきなのでしょうか。この判断は非常に難しいものですが、いくつかの判断基準を設けることで、より客観的な決断が可能になります。

まず、上記のような支援や指導を一定期間行っても、まったく改善の兆しが見られない場合は、見切りを検討する必要があります。ただし、「まったく改善がない」という判断は、具体的な数値や事実に基づいて行うことが重要です。例えば、「月間の業務処理件数が目標の50%以下」「重大なミスが3か月連続で発生」といった、客観的な指標を基に判断しましょう。

また、その部下の存在がチーム全体のパフォーマンスに大きな影響を与えている場合も、判断のポイントとなります。例えば、他のメンバーが常にフォローに追われて自身の業務に支障が出ている、ミスの修正に多くの時間を取られてプロジェクトの進行に遅れが生じているなどの状況が続く場合は、チーム全体のために決断を下す必要があるかもしれません。

さらに、本人のキャリアという観点からも考える必要があります。現在の部署や職種が、その人の適性や志向に合っていない可能性もあります。むしろ、早めに見切りをつけ、新しい環境で活躍の機会を探ることが、本人のためになるケースもあるのです。

見切りをつけた後の対応

見切りをつける判断を下した後も、適切な対応が必要です。ここでは、組織としてとるべき具体的なステップについて説明します。

まず検討すべきは、社内での異動や配置転換の可能性です。別の部署や職種であれば活躍できる可能性もあるため、本人の適性や希望を考慮しながら、新たな活躍の場を探ることが望ましいでしょう。この際、人事部門と密に連携し、組織全体での最適な配置を検討することが重要です。

もし社内での異動が難しい場合は、円満な退職に向けての準備を始める必要があります。この過程では、本人の尊厳を守りながら、丁寧なコミュニケーションを心がけることが大切です。また、転職支援やキャリアカウンセリングなど、次のステップに向けたサポートを提供することも検討しましょう。

そして、見落としてはならないのが、残されたチームメンバーへのケアです。「仕事ができない」とされた社員が異動や退職することで、チーム内に動揺や不安が広がる可能性があります。このような状況に対しては、適切な情報共有と、今後の方針についての明確な説明が必要です。

また、チームの業務分担の見直しや、新しいメンバーの受け入れ準備など、実務的な対応も必要となります。この機会に、業務プロセスの改善や、チームの連携強化といった前向きな取り組みにつなげることで、組織全体の成長につながる可能性もあります。

最後に重要なのは、この経験を組織の学びとして活かすことです。なぜその状況に至ったのか、どのような対応が効果的だったのか、あるいは不適切だったのかを振り返り、今後の人材育成や組織運営に活かしていく姿勢が大切です。

仕事ができない部下への対応は、マネジメントの中でも特に難しい課題の一つです。しかし、適切なプロセスを踏み、客観的な判断基準を持つことで、より良い決断を下すことができます。上司として、部下一人一人の可能性を信じながらも、組織全体の成果を考える視点を持ち、バランスの取れたマネジメントを心がけていきたいものですね。

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